ゆんたく・徒然 奥の深い沖縄。その沖縄をもっと知りたいヤマトの人々、
古里沖縄をあまり知らないと”ウチアタイ”するウチナーンチュ。
そんな方のお役に立てたらと願う、「青春」を謳うナイチャー、
NPOの一員です。

ゆんたく・徒然 ( 沖縄の三宝 )

 

「あちさぬひゃー」という挨拶が耳慣れた沖縄の8月、最大行事のお盆はウンケーが6日、ウークイが8日です。沖縄には「後世や雨垂いぬ下」という古い諺があります。ご先祖様をとても身近な存在として捉え大切にしています。この期間はお店が休みになったりして観光の方々にご不便をかける事もあるかと思いますが、ご理解下さい。

「琉球国は南海の勝地にして・・湧出せる蓬莱島なり 舟楫(しゅうしゅう)を以って万国の津梁となし異産至宝は十方刹に充満し・・」これは「万国津梁の鐘」に書かれた文章の一部です。沖縄は昔から「宝の島」であったのです。今日は、数ある沖縄の宝の中から形があって、沖縄独自のもので、心と体を健常にし、かつグローバルな存在であるものを選びぬき、「泡盛」「サンシン」「珊瑚の海」を沖縄の三宝としてゆんたくしましょう。

「泡盛」は世界で一番歴史のある『蒸留酒』です。舟楫を以ってシャムから渡来、それを沖縄独自の泡盛に仕上げたのが1470年頃といわれます。ウイスキーはその百年後、ブランディーは更に百年後だそうです。泡盛は沖縄料理、日本料理ほか多くの料理に合います。度数に幅があり、「古酒」とよばれる3年以上熟成させたものがあるのも特徴です。「少量を毎日戴くと健康増進になる」と自らの体験を語られる方は多くいらっしゃいます。泡盛は多彩な沖縄文化の中心に「根」を下ろし、また文化を育てる存在でもあります。又「外貨を稼げる」県産品として期待を背負っています。今日までの道程は苦難の連続であったようです。戦火で殆ど全てを喪失し、製品のイメージでも苦労が多かったのです。洗練された泡盛の誕生には一人のヤマトンチュの存在がありました。西谷尚道さんという醸造専門家が鑑定官として復帰後の沖縄に着任され、各酒造所を指導されました。幾多の改善が『美ら島のまろやかな酒』を生んだという事を最近の報道で知りました。今、県外では泡盛ファンの会も増え、九州では「泡盛列車」が走りました。本土でも入手し易くなりましたね。「○○カメラで買った」という話が「おもろん広場」にありました。また、瑞泉を置いた居酒屋さんが結構身近な所にありますよ。私は大宮に「うるま」というアンテナショップがある事を知り、利用させて貰っています。暑い夏は、涼し気な色の琉球ガラスでロックか水割りを頂くと、かすかに珊瑚の海の潮騒が聞こえてくるかもしれませんね。

泡盛を美味しく飲む秘訣、それは沖縄文化の香り漂う中で頂く事です。サンシンに載せた沖縄音楽を聞きながらとか、やちむんの酒器を使う等々です。ヤマトで飲む時は大切です。酒はすべからくその酒を生んだ文化と共に在るものです。沖縄の文化を大切にする所に泡盛は生き続けるのです。

二つ目の宝は「サンシン」。これもウチナーンチュの心の原郷です。荒廃した生まり島で戦後の復興に立ち上がった人々の心にカンカラサンシンと芸能は勇気と希望を与え続けたと聞きます。床の間に飾られたサンシンは沖縄の象徴です、心です。真壁里主の手になる「開鐘(けぇじょう)」という名器が有名です。「ちゅらさん」でもサンシンはよく登場しましたね。3月4日のサンシンの日にはブラジルなどをはじめ世界でサンシンの音が聞けるのも素晴らしいことです。映画「ナビーの恋」で登川誠仁が弾くサンシンと歌は鮮明に甦ります。サンシンなくして「かじゃでぃ風」も「組踊り」も「民謡」も存在しません。否沖縄そのものが存在しなくなると思う私です。ウチナーンチュの優しさはサンシンのお陰かも知れませんよ。「歌のある所で暮らせ、歌を歌う者に悪人はいない

三つ目の宝は「珊瑚の海」です。沖縄の海は殆どが環礁によって外海とイノーにセパレートされています。珊瑚礁こそは沖縄が世界に誇れる美しくかつ豊かな自然であります。海水温の上昇で珊瑚は生命を奪われ、美しい海の色は白化してしまいます。オニヒトデも珊瑚の敵です。自然の治癒力は人間の生活変化によって衰えていきます。皆で「珊瑚の海」を守っていく努力と、環境破壊要因を作らない生活が求められる時代です。「住み易さ」と「珊瑚の海を守る事」の調和が大切です。白保のアオサンゴは世界に誇れる規模で、世界の人々の関心が日本人より高いように思えます。知床に続いて白保の海が世界自然遺産に登録されるようにまずは我々が心を配らねばなりません。

“美しい沖縄の海を永遠に、私達のために そして子供達の為に”(「序」で既述)

 

ウチナー口(沖縄方言)など解説

後世や・・

「ぐそうやあまだいぬしちゃ」と読みます。御先祖様は家の軒下程の近さにいらっしゃる」の意。悪い事は出来ませんね!道徳教育面でも価値ある諺だと思います。

宝の島・・ 蓬莱島の宝は金銀財貨ではないのです。不老不死、諍いの無い社会が宝なのです。
蒸留酒・・ 醸造酒を蒸留(沸点の違いでアルコール:78℃と水:100℃を分離する)したもの。
度数・・ 25度〜43度まである。例外は与那国島の花酒などが60度まで認められている。
古酒・・ 三年以上寝かせた泡盛を「クース」と呼ぶ。芳醇な香り、まろやかさが味わえるのでクースはロックかストレートで「舐めるように」頂くものです。良質の泡盛を良質の容器にいれ、室内楽を聞かせたりしてよい環境で熟成させるのが肝要。
外貨・・ 県外に販売する事をこのように表現します。沖縄の歴史が匂い立つ言葉ですね。
西谷尚道・・ 北大農学部で醸造を学ぶ。沖縄国税事務所管鑑定官として復帰の年1972年5月着任。東京農大客員教授、元国税庁醸造試験所長。現在NPO法人日本知的財産センター名誉顧問。
最近の報道・・ 「キーワードでさぐる時流源流:泡盛」読売新聞6/30朝刊27面
泡盛列車・・ 「北九州泡盛を楽しむ会」が結成10年を記念して7月8日、4時間の専用列車を走らせ景色を見、唄、サンシンを聞きながら泡盛を楽しんだ珍しいイベント。
琉球ガラス・・ 色とりどりでやや肉厚のフォルムを持つ。再生ガラスを使い手吹きが原点、気泡の入りが特徴です。素朴さは沖縄を写し取ったようです。
サンシン・・ 「三線」(新聞など)、「三絃」(上原直彦)と書くのでカタカナで統一。中国の三絃がルーツ、三味線はサンシンが本土化したもの。ニシキヘビの皮が胴に張られるがワシントン条約の規制を受け、人工皮なども使われる。嘉手刈林昌曰く「コレが無かったら、私はどんな人生を送ったのだろうか?」同感のウチナーンチュは多いはず。
カンカラサンシン・・ 収容所のベッドの板、パラシュートの紐、メイドインUSAの食料缶詰の空缶で作ったサンシン。戦後50年記念事業はカンカラサンシン3千丁の大演奏会であった事を見ても、戦後の荒廃した心を支えてくれた楽器である事がよく分かる。
ナビーの恋・・ 平良トミ演じるオバーがセイグヮー演じるオジーを置き去りに昔の恋人と駆け落ちする年齢を超越した大人の童話。「十九の春」が唄われ、カチャーシーもある。
登川誠仁・・ 沖縄民謡界の大御所で登川流宗家の支部は世界の各地にある。愛称「セイグヮー」。早弾きが得意、琉球民謡協会会長、沖縄県無形文化財技能保持者。逸話は数しれない。
歌のある所・・ 「歌ぬ有っ所(とっくる)んじ暮らし。歌する者(むん)ねぇ、ヤナ人(やなっちょ)ぉ居(う)らん」上原直彦著「浮世真ん中」(「わたくしごと」章より)
白化・・ サンゴに共生している褐虫藻が離れるとサンゴは白くなり、栄養が取れなくなって餓死する。1998年海水温上昇で石垣島近海の珊瑚の40%が被害にあった。
アオサンゴ・・

バックナンバー「八重山(白保)」参照

参考文献

「浮世真ん中」上原直彦著:沖縄タイムス社刊
焼酎 in 九州:創る人:九州発:YOMIURI ONLINE(読売新聞) http://kyushu.yomiuri.co.jp/entame/syotyu/hito/hito_08.htm
沖縄タイムス2006/07/09朝刊「泡盛列車」で一杯


プロフィール

楠 通志
1942年1月生まれ(みずがめ座 O型)。福山市出身、さいたま市在住。
1976年頃初めて沖縄入り。以来本島以外に、宮古島、多良間島、石垣島、与那国島、竹富島、波照間島、伊江島を訪問。自然風景写真を撮っている。
今年の目標は「原風景」に拘った作品作りで必然的に離島へと足をのばす事。伊是名、座間味、久高の各島。本島では山原や東海岸としたい。


シーブン(おまけ)

  1. 石垣島の居酒屋ではもっぱら、「甲子園までの旅費の捻出をどうするか」、の話題で盛り上がっているそうです。
  2. 今年は慶良間諸島の人気が高いようです。9月20日まで座間味の
    慶良間海洋文化館で「慶良間の海人展」が開催されていますよ。
  3. 「海蛍ロックグラス」が7月20日の日経新聞(夕)「この一品」欄で紹介されました。夜の浜辺でするBQでも海の泡のように光り輝き、ファンタスティックな美しさが漂ってムード満点というグラスです。
  4. 夏はお祭りで暑さを吹っ飛ばすのです。綱引き、エイサー、海人祭、豊年祭など各地で行事が盛りだくさん。旧暦表示が多いので気をつけて予定を組んでください。