ゆんたく・徒然 奥の深い沖縄。その沖縄をもっと知りたいヤマトの人々、
古里沖縄をあまり知らないと”ウチアタイ”するウチナーンチュ。
そんな方のお役に立てたらと願う、「青春」を謳うナイチャー、
NPOの一員です。

ウリズン・若夏

沖縄本島では3月下旬から5月中旬までをウリズン・若夏と呼んでいます。丁度年度末、新年度という慌ただしい時期と重なっています。今年、新しく学業生活、社会生活をスターされた方にとっては、環境の変化によるストレスが顕在化しやすい5月です。どうか上手に乗り切ってください。沖縄に多い「15の春」を経験された若人には、「チバリヨー!」「ワイドー!」と格別の声援を送ります。「18の春」は一般的ですが、昨年夏、甲子園を沸かし、石垣島のみならず、ウチナーンチュを興奮の坩堝に誘い、全国の野球ファンにも「高校野球は素晴しい!」という感動を与えた、「八重山商工」の3年生選手諸君もそれぞれ青雲の志を立て、生り島を離れたのではと思っています。背番号1、エースの大嶺祐太君は縁あって同じさいたま市民です。入団したロッテの浦和球場は私の住いから車で15分の距離ですから度々応援に行きたいです。背番号4は、2番手投手として、また強打者としても大活躍した桃林寺の仁王様」と呼ばれた金城長靖君、すっかりファンとなった私は彼の進路が気になっていましたが、地元の沖縄電力野球部に入部した事が分かりほっとしました。訪沖時、グランドで彼の姿を探してみたいと今からワクワクしています。こんな気持ちは、「イチロー」の姿を探して走り回った11年前の2月の宮古島以来です。

話が脱線しました。季節の話に戻りましょう。沖縄の海人が警戒する3月中旬頃の「ニンガチカジマーイ」が終わると南風が吹き季節が大きく動き始めます。南風が安定してくると「ウリズンベー」と呼びます。末吉の友人Hはいそいそと重いタンクもいとわず残波岬通いを始めます。私は飛行機の座席をA側に変えます。植物では「イペー」の黄色い花が先導役、やがてデイゴが赤く街を彩ります。北部のたんぼでは「オクラレルカ」が、浜辺近くでは「テッポウユリ」が、やふぁーやふぁーの風と遊ぶ姿が見られます。伊江島のリリーフィールドに咲く100万輪は圧巻です。天女の化身「ゲットウ」の白い花も恥らいながら覗き顔をみせます。一方生き物で存在感充分なのは浜辺の合唱団「クサゼミ」、若夏をうるさいまでに知らせます。八重山では真っ赤な「アカショウビン」が南の国から飛来し夏の到来を告げます。ウチナーンチュはと言えば「清明(4月5日〜)」に敏感に反応します。美味しいご馳走を一杯作りお掃除兼ピクニックの墓参をします。浜下り(ハマウリ)」と呼ばれる旧3月3日(4月19日)の節供も海辺のピクニックです。この日、出会った男女が恋に落ちる組踊「手水の縁」のような経験をした人も居られるでしょうね。沖縄では人気ある行事です。
当分水温は低く泳ぐには少し寒いと思いますが、ビーチは完全オープン中です。潮干狩りなど海アッチャーする時は満ち潮の速さ、天候の急変に気を配り早めに引き上げて下さい。

あんなしかんなしで迎えた5月、GWはイベントが沢山あります。圧巻は観光サービス満点の「那覇ハーリー」でしょう。中学生〜一般人幅広く色々なチームが出漕します。エイサーの時と同様残業はせず、練習に励み本番に臨みます。沖縄タイムスのHPで偶然練習風景(昼でした)を見つけた事があります。那覇ハーリーの特徴は全長15m弱、バウには竜頭、スターンには尻尾の彫り物を飾った派手な船体に、総勢42名(漕ぎ手32名)が乗り込み競漕します。旧5月4日(6月18日)にこだわった糸満や奥武島などで開催されるサバニを使っての、伝統を重んじかつ神事に則ったハーレーとは異質ですね。本島の北の奥部落では700匹を超える鯉のぼりが河川公園を泳ぎます。伊江島のユリ祭り、宮古島は鯉のぼりフェストで色々な子供向けイベント等。スーマンボースーまでの晴天を目一杯楽しむ沖縄の5月です。

今月のゆんたくは、私自身の「行きたくても行けなかった、この時期の沖縄へ馳せる思い」を、縷々述べてしまったようです。同じ様にヤマトで、沖縄に思いを巡らせている方々の共感が得られれば、嬉しい限りです。
(本文中旧暦のあとの括弧内の日付は今年の新暦の日付を示しています)

 

ウチナー口(沖縄方言)など解説 ※文中敬称を省略しました。お詫び申し上げます。

ウリズン・若夏・・ 冬の終わる2月下旬〜梅雨明けの6月中旬(夏至前)とする沖縄古辞書「混効験集」もありますがウチナーンチュの挨拶などから、私は3月下旬〜梅雨入り前までとしました。穀雨を境に前をウリズン・後を若夏だとする説もありますが季語ですからテーゲーで良いと思います。沖縄独自の季節感です、体験下さい。
15の春・・ 離島の若者は島に高校が無い為、石垣や宮古、本島の高校へ進学する春の事です。
大嶺祐太・・ 06年1巡目指名でロッテ入団、184cm右投げ左打ち17奪三振試合(選抜)あり。
桃林寺・・ 石垣市役所から近い、禅宗(臨済宗)の寺、阿形吽形の仁王像が山門にある名刹。
金城長靖・・ 甲子園では3本のホームラン、日米親善野球選抜18人に入る、スイッチヒッター。
卒業式では「青いハンカチ」で涙を拭くパフォーマンスを発揮。170cm右投げ。
ニンガチカジマーイ・・ 「二月風廻り」。冬至から86日目頃、海では天候が急変し風雨が強く大荒れの天気になる。1昨年3月23日朝、新城島を出て西表に向かうカヤック2艇が遭難3名行方不明になった事件は「二月風廻りの判断ミス」か、といわれている。
ウリズンベー・・ 「陽春南風」。暖かく感じ、「ウリズンが来たか」となる。夏はカーチベー
残波岬・・ 南風になると海は凪ぐ、北風だと荒れる。バックナンバー「岬」参照。
A側・・ 沖縄大好き人間は飛行機が高度を下げアプローチに入ると、そわそわし、空からの景色 を楽しむ。北風時は右(K側)、南風時左(A側:ポートサイド)に座ると与論島、辺戸岬、伊江島、部瀬名、嘉手納、牧港、泊大橋が見え「来たぞ!」となる。
オクラレルカ・・ アヤメ科、喜如嘉の田園を薄紫に彩る。「Iris ochroleuca」
やふぁーやふぁー・・ 優しい、柔らかい、軟弱ななどの意味。こういうウチナーグチが素敵!
クサゼミ・・ 「ジィージイー」と草に留まって鳴く。「石垣島」の「イワサキクサゼミ」は日本最小の蝉です。地中から出てくる時期が一定している為季節を捉えやすい。今年の初鳴きは4月3日でした。5月半ばには「ミヤコニーニー」が「チーチー」と鳴きます。
アカショウビン・・ ブッポウソウ目カワセミ科。繁殖の為東南アジアから沖縄へやってくる。鮮やかな赤い小さな体で「コッカロロロー」と鳴く。
清明・・ 24節気の一つで4月5日(清明)〜4月20日(穀雨)まで。祖先の墓参りと墓掃除をする時期です。暦便覧「万物発して潔なれば此芽は何の草としれるなり」。
浜下り・・ 古来の言伝えでは、この日女性は浜に出て潮を足で蹴り上げ身を清めるという。ハマウリと読みます。
手水の縁・・ 平敷屋朝敏作の組踊劇の名前。沖縄の恋物語はハマウリの出会いから始まるのが散見される。「泊の阿嘉」の樽金、思鶴は若狭の浜で出会います。「薬師堂」もハマウリの場面があったと記憶します。「手水の縁」はバックナンバー「南部海岸巡り」参照。
あんなしかんなし・・ あんな事をしたり、こんな事したり
那覇ハーリー・・ 3日、4日は地元チームの競漕、5日が御願バーリー(港内を回遊し豊穣を願う神事)と本バーリー(優勝決定戦)。場所は那覇新港です。
沖縄タイムス・・ http://www.okinawatimes.co.jp/
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スーマンボースー・・

「小満芒種」今年は小満が5月21日から、芒種が6月6日から21日迄です。此期間が沖縄では大体梅雨です。旧暦はよく出来ていますね。


プロフィール

楠 通志
1942年1月生まれ(みずがめ座 O型)。福山市出身、さいたま市在住。
1976年頃初めて沖縄入り。以来本島以外に、宮古島、多良間島、石垣島、与那国島、竹富島、波照間島、伊江島を訪問。自然風景写真を撮っている。
今年の目標は「原風景」に拘った作品作りで必然的に離島へと足をのばす事。伊是名、座間味、久高の各島。本島では山原や東海岸としたい。


シーブン(おまけ)

  1. 「オクラレルカ」を見に来た人達に、工芸品も鑑賞してもらおうと「いぎみてぃぐま展」を大宜味村が同時開催しました。「てぃぐま」とは手先が器用、細かい手作業という意味で、心を込めたもの作りの品々が並びました。
  2. 13年かけて作られた柴田昌平監督の映画「ひめゆり」、従来の作品と大きな違いは22人の生存者が登場し、現場で体験を語ったという点です。桜坂劇場の観客記録を塗り替えました。これからのロードショーのスケジュールが気になります。
  3. 佐敷のSさんから「島ラッキョウ」を戴き、皮むきから塩もみまで全てやってみました。末吉のHさんに色々作り方を教わりながら悪戦苦闘、苦労は多かったけど、泡盛を飲みながら美味しく戴きました。Sさん!ご馳走様。 Hさん!ニフェーデービタン。
  4. 缶と棒を持って道路に出て、カンカンたたきながら「ワイドー!」と声援を送るオバァ。22日に行われた宮古島トライアスロン、池間島での応援風景でした。「宮古島・池間島のくらし2006』というブログで見〜つけ!なんと棒は紅白です、お洒落です! MAKOさん、ブログ頑張って!

参考文献等

「沖縄天気ことわざ」 石原英、正木譲著  琉球新報社刊
「南の島の甲子園」  下川裕治著     双葉社刊
「ちゅらわん日記」http://churawan.blog.ocn.ne.jp/churawan/2007/03/post_4104.html 
「アカショウビン」http://www.y-mainichi.co.jp/?action_article_show=true&article_id=7763