ゆんたく・徒然 奥の深い沖縄。その沖縄をもっと知りたいヤマトの人々、
古里沖縄をあまり知らないと”ウチアタイ”するウチナーンチュ。
そんな方のお役に立てたらと願う、「青春」を謳うナイチャー、
NPOの一員です。

続 美ぎ島宮古

 今月は東平安名崎から、県道83号線を辿り島の北端池間方面に向かいましょう、そこで今日の夕陽を楽しみたいと思います。疲れた人は、無理をせず、途中で左折し熱帯植物園、陸上競技場前を経由して平良に帰られて、翌朝砂山ビーチヌブイクダイで一汗かいて、池間方面を目指されてはと思います。
さて、県道の途中には吉野海岸、新城海岸がありますが格好のドライビングロードが続きますので車のポテンシャルを楽しみながら、私は比嘉ロードパークまで一気に走り抜けています。ここの眺望は「ズミッ!」、トイレもあり、白黒ツートン車の制服ペアーもよく休憩しています。リフレッシュしたら宮古南静園の前を抜けて道ゆらり、島尻集落に寄りましょう。世帯数145戸の農業を中心にした普段は静かな所です。百数十年のンキャーン、この地に流れ着いたというクバの葉に包まれた赤と黒の鬼面が、悪霊を払う来訪神と崇められ、旧暦9月の日「パーントゥ・プナハ」と呼ばれる村のビッグイベントとなりました。以来、島尻の名は全国に知れ渡りました。全身に羽織ったキャーンという蔦に悪臭を放つ泥を塗り、仮面をかぶった3匹のパーントウが老若男女誰彼となく、又新築の家であろうとパトカーであろうと聖域なく泥を塗り、泥水を撒き散らして一年間の無病息災を願い、厄払いをする奇祭です。椎名誠さんのルポがコーラルウェイの風車号(#106)に詳しく出ています。垂見健吾さんの写真とあいまって臨場感たっぷりです。ご両人ともこの取材時に名指しで泥水を浴びせられた事は言うまでもありません。
島尻の港からは1日5往復、船が4km沖の大神島に出ています。神秘的とか異次元の世界とか色々形容されており、物見遊山で出かける島ではないようです。全ての場所に神が宿る、故に祭祀は日常茶飯事、でも余所者の好奇の目に晒される事を島の人達は嫌うそうです。(森口豁「誰も沖縄を知らない」)私は民俗学者でもなく、写真を趣味にした一介の他島人ですから島の諸神が住まう場所も知りませんし、ご挨拶の仕方も判りません。だから島には渡らず、いつも世渡崎からエメラルドグリーンの海に浮かぶ美しい島影を心置きなく楽しませてもらっています。
島尻から県道230に出ると狩俣集落を通ります。歴史のある邑ですが今宮古を旅する若者に人気があるのは「お食事処・ビアホール『すむばり』」というお店です。タコが一杯入った宮古そばが評判で、スバジョーグには素通りできない場所になっているようです。
やがて道は西の浜という場所で三方に分かれますが、一番左手が西平安名崎に行く道です。一時は5基の風力発電機がありましたが、歴史に残る超大型台風「マエミー」で倒壊破損全滅しました。「ウプカジヌ シャクゥ」という不屈の精神で沖縄電力は昨年12月から再建設に入り今年8月完成、9月から稼動するそうですからまた往時の西平安名崎の景観が甦る事でしょう。真ん中が港に向かう道です、海に出ると、二つの岬に抱かれた内海では養殖モズクがチェッカーフラッグみたいに揺れて見えます。池間島に伸びる大橋も素晴らしい景観を作っています。道の脇でギネス認定、ミネラル豊富な自然海塩を製造販売するところがありますから、お土産には手頃ですよ。
一番右手道なりに進むと世渡崎から池間大橋、池間島となります。橋の手前にある駐車場を利用して水平線に沈む夕陽を堪能して下さい。大神島やモズク漁の船影は海の色と調和して心安らぎ、時の経つのを忘れそうです。大橋の上から見る浅い海は少し濃い目ながら透明感たっぷりのグリーンで微妙なグラデーションがありますから歩いて渡りたい橋です。
神々の楽園と言われる池間島はバックナンバー「海を渡る橋」を見てください。池間言語を使う「誇り高き池間民族」、北の海上に広がる広大な八重干瀬(正式な読み方は「ヤビジ」:池間言語です)や「フデ岩」の男女神、池間島大主神社の話などはいつか纏めてゆんたくしたいですね。宮古島の北端に来ると私はいつも柳田國男の書いた「海上の道」が思い出されてなりません。池間以外でも「保良の洞窟」、下地島の「通り池」や「ナベ底」、などの神秘的な地形は、宮古島が沈降隆起を繰り返した歴史を物語っているようです。
宝貝を求めて大陸から渡来した人々は宮古からサバニを駆ってさらに海上の道をたどり紀州熊野あたりに着いたのではという物語は、宮古の「キムカギサ」であり、心ときめくロマンそのものではないでしょうか。

 

ウチナー口(沖縄方言)など解説 ※文中敬称を省略しました。お詫び申し上げます。

砂山ビーチ・・ 前浜に対抗する宮古の代表的ビーチです。しないふっふぁ(平良市内育ちの人) にとってはアシビナーそのもの。思い出の数々はニキビの数と重なるのでは。
ヌブイクダイ・・ 「上り下り」です。ビーチに行くにはサラサラの砂を踏みしめ上り下りしなければ行けません。いまでは「メタボ」のチェックに最適な場所と、如何なりや?
ンキャーン・・ これぞミャークフツ(宮古言葉)の典型「ン」で始まります。「昔」という意味。
パーントゥ・プナハ・・ 島尻に棲み付いている妖怪が「パーントゥ」。「プナハ」は祈願祭です。
3匹のパーントゥ・・ 親パーントゥに「中」と「子」のパーントゥが何時からか加わりました。
風車号・・ 「カジマヤー」号と読みます。2006年9/10月です。先月紹介した津嘉山荘のお千代アンマーもP17に出ています。風車祭は97歳を祝うお祭りです。
大神島・・ この島でどんな不思議な事が起ころうと宮古の人は「さもありなん」と受け入れるでしょう。そんなせいか、一周道路の建設は神が留めたと言われています。住民32人、内24人は70歳以上、神事を司る後継者は・・・小中学校に生徒は一人です。
誰も沖縄を知らない・・ 「子乞い」(鳩間島)を書いた森口豁氏の力作で27の島を紹介している。 伊是名島の「笑顔の少年それぞれの41年」は特に印象に残っている。(参考文献参照)
狩俣集落・・ 人口710余名、独特の祭祀が残り民俗学者が興味を示す邑。明治時代までは集落全体を石垣で囲って出入り口も決まっていたそうです。
スバジョーグ・・ 沖縄ソバ(総称)に目がないソバ愛好者。多いですよこの種の方は。
マエミー・・ 03年の台風14号です。9月11日〜12日宮古島を襲い、最大瞬間風速は歴代7位の74m超。因みに1位85.3m(コラ)、3位、5位(デラ)全て宮古。
台風名称 
http://www.kishou.go.jp/know/typhoon/asianame/ty_name.html
被害総額78億で停電18000世帯(ほぼ9割)。上野村の航空自衛隊風速計は非公式ながら86.6mを記録。ほぼ35年ぶりの超大型台風だったはず。
ウプカシヌ シャクゥ・・ 「台風のこんにゃろう」「憎いあんちきしょう!の台風め」です。台風は海水をかき回して珊瑚の白化現象を防いでくれたり渇水回避などいい事もします。 そのあたりのニューアンスが滲んでいる言葉と解釈しました。
モズク漁の船影・・ バックナンバー「行きてし宮古」を見てください。
保良の洞窟・・ 東平安名崎にある鍾乳洞で入り口は海面すれすれ、中に入ると美と荘厳さを持った宮殿(野本三吉氏)人呼んで竜宮城がある。参考文献の「神々のふるさと宮古島」
通り池・・ 下地島空港の西海岸にある暗いブル紺の岩に囲まれた池?底は海に通じている。伝説も数話あり信仰の対象になる感じ充分な場所。
ナベ底・・ 通り池の近く、「異界への通路」(斎藤潤氏)産道という穴をすり抜けると鍾乳石と石筍が沢山ある広場がある。耳を澄ますとボゴボゴと湯が沸くような音がする。鍋で煮物をしてるようにも聞こえるそうです。風、火、水の3神が「おわす」そうです。
キムカギサ・・ 「心根のやさしさ」です、「肝(チム)ガナサ」(本島でいう)に相当しますか。 宮古島には道路に「おまわり君」という人形が設置されています。宮古の風物詩的人気者ですが心根やさしいミャークピトゥ(宮古人)は、ジュースやお菓子をそっと足元に供えています。これもキムカギサですよね。

プロフィール

楠 通志
1942年1月生まれ(みずがめ座 O型)。福山市出身、さいたま市在住。
1976年頃初めて沖縄入り。以来本島以外に、宮古島、多良間島、石垣島、与那国島、竹富島、波照間島、伊江島を訪問。自然風景写真を撮っている。
今年の目標は「原風景」に拘った作品作りで必然的に離島へと足をのばす事。伊是名、座間味、久高の各島。本島では山原や東海岸としたい。


シーブン(おまけ)

  1. 宮古島出身の砂川さんが「砂川式パイナ算」を出版(丸善プラネット)されました。 「パイナ算」は先月ゆんたくした「パイナガマビーチ」と円周率のパイから名命された由。二桁の数字の二乗を暗記する方法だそうです。
  2. 「勢理客」や「保栄茂」「越来」は読めなくても、「北谷」は皆さん読めますね。 その北谷の町がさらに新しい顔「チャタンブルーリゾート」を持つ計画が進んでいます。ジャズなど音楽エンターテイメントを中心にしていくそうです。「ブルーノート」は?
  3. 8月の沖縄県はお祭り一色、3日〜5日の「那覇1万人エイサー」をはじめ、今帰仁、宜野湾、糸満、本部、伊平屋、・・アツイ!沖縄です。詳細は下記 http://event.uruma.jp/ 「八月の箆柄暦」です
  4. 入域観光客数は順調に伸びています。6月も前年同月比3%弱UPです。また、台風4号の時は4年ぶりに「台風時ボランティア」活動が機能して民宿された家族が居られた由。 「デージ上等ヤッサ!」。

参考文献等

「海と島の思想」            野本三吉 著  現代書館
「沖縄・奄美《島旅》紀行」       斎藤潤 著   光文社新書
「誰も沖縄を知らない・27の島の物語」 森口豁 著   筑摩書房
「読めば宮古」「書けば宮古」「くまから・かまから」    ボーダーインク
「池間民族語彙の世界」         伊良波盛男 著 ボーダーインク
「宮古毎日新聞HP・まちからむらから」
  http://www.miyakomainichi.co.jp
「蛇 日本の蛇信仰」 吉野裕子 著  講談社学術文庫
  http://cthulhu.hp.infoseek.co.jp/dic.minwa.miyakozimahebi.html
沖縄タイムス 2006,11,29(朝)30面 記事「風力発電機4基着工・・」
独立行政法人建築研究所 15年9月24日付け
「台風14号による建築物等の被害について」(速報)

※バックナンバー「行きてし宮古」、「海を渡る橋」、「お茶三題」は見返してたぼれ。写真もそれぞれありますよ。

 


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