ゆんたく・徒然 奥の深い沖縄。その沖縄をもっと知りたいヤマトの人々、
古里沖縄をあまり知らないと”ウチアタイ”するウチナーンチュ。
そんな方のお役に立てたらと願う、「青春」を謳うナイチャー、
NPOの一員です。

私の沖縄:八重山編

異例の短さで梅雨が終わり暑い長い夏が始まった沖縄、ヤマトからの観光客はビーチでの日焼けには充分注意してください、沖縄の夜を楽しむ為にも。
私の沖縄小史も八重山編で〆となります。でも八重山へはまだまだ行きたいですね。
宮古島初訪問から1年後の97年4月、初めて石垣島を訪れ2泊しました。「車は何処に駐車出来ますか?」「図書館の前か公園側道路でいいですよ」こんな時代でした。
石垣島は平久保崎の灯台まで行き玉取崎を回る島内一周をし、翌日は竹富島をアマハイクマハイ、水牛観光車の三線と歌はBGMにして専らシーサーとの対面をエンジョイしました。石垣島に来れば竹富島も訪ねるという行動パターンがすんなりと出来ました。
映画「恋しくて」(石垣)や、「ニライカナイからの手紙」(竹富)に登場する美しい風景や場所も大体分かります。竹富島東港桟橋には郵便ポストは無かったと思いますが、映画のように在れば素敵でしょうね。平久保崎の灯台まで行って練習するのは「えっ〜」と思いますが、これも青春映画には欠かせないパワーかと、納得しました。八重山旅行時に地元を舞台にした映画のシーンを辿って見るのも、なかなか乙なものですよ。
2度目に訪ねたのは99年の年の瀬も押し迫った頃でしたが、竹富島コンドイビーチを訪ねると誰もいない砂浜に海草で書かれた「1999さよなら」というメッセージを見つけました。これを残した見も知らぬ旅人の豊かな情感にしばし感動した思い出があります。
石垣島の川平の先あたりにポツンと逆L字型に立った一本の木をご存知ですか?或る時Tさんとこの木が話題になり「皆の目に留まるんだなぁ」と意気投合、南島旅情で話しに花が咲き、思わず泡盛がすすんだ事もありました。
このTさんが「波照間出身のN氏という友人がいた」と語った事から退職後の03年7月、トントン拍子に波照間島行きが実現しました。若者に絶対的人気でいつも満員の「たましろ」荘に泊まれたのもN氏がたましろ荘ご主人と懇意だったからです。波照間島の青空の美しさは日本一と思いました。集落の純朴な佇まいには昔に帰ったような安らぎを覚えました。最南端にあっても八重山の歴史や芸能文化をマンガタミしている島、03年の訪問時にはそんな波照間島を見損ねていたのが今とても心残りなのです。N氏の帰省時にご一緒してもう一度島に行けたら最高だろうなと見果てぬ夢を追っています。Tさん、ユタシク。
与那国島は空港施設の仕事で01年の訪問だけです。一泊の予定が天候不良で機材が来ず、もう一泊するという幸運に恵まれました。一日目の民宿でヤールーに悩まされたという同僚の泣き言を聞き入れ、2日目は祖内という古い集落にある比較的新しい民宿に泊まりました。饒辺愛子さんの歌で聞き知ったナンタ浜を散歩したり、60度の花酒を試飲する事も出来ました。与那国の歴史にも少し触れられました。 天気に恵まれなかったからでしょうか、「シャワーと風の島ドナン」が私の与那国島の印象です。
地元でヤイマと呼ばれる八重山は「唄の宝庫」と言われています。有人10それぞれに名曲が歌い継がれています。「与那国ションカネー」、「デンサ節」(西表)、「黒島口説(クドゥチ)」、「小浜節」等などです。八重山の音階は「呂音階」が多く、奄美にも見られる音階だそうです。誰でも歌った経験があるのは「安里屋ユンタ」、聞いてうっとりする「月ぬ美しゃ」は子守唄で、八重山を象徴する名曲です。地元では「トゥバラーマ」が主役ですね。大工哲弘さんいわく「八重山の謡は労働歌」だそうです。首里の士族に育まれた本島の歌とは異なり、「人頭税」(1637年)や「村分け」(1734年)、八重山の人口の1/3を奪った「明和大津波」(1771年)、追い討ちをかけたマラリアの猖獗、喩えようも無い社会の渦や災禍にさいなまれた八重山の民衆はその苦しみから唄を作り、歌い継いで今日に到っているのですね。八重山の唄は歴史抜きには理解できないと思います。
長年、辛酸を嘗め尽くした島人は、今多くは語らず、飄々と暮らしています。そして先人が生み育んだ八重山の唄を生活の中にしっかり取り入れ、歌い継ぐことをとても大切にされています。知れば知るほど愛おしさが増す八重山、美しい島々に思いを馳せながら私の沖縄小史を閉じます。

ウチナー口(沖縄方言)など解説 ※文中敬称を省略しました。お詫び申し上げます。

平久保崎・・ 石垣島北端で白亜の灯台があり、眺望は地球の丸みが実感できますよ。街から1時間半程です。映画ではセイリョウズが横断幕を張ってバンド練習をします。
アマハイクマハイ・・ あっちこっちとうろうろする事。
恋しくて・・ ご存知ビギンの高校時代(八重山高校郷土芸能部OB)をモチーフにした作品です。
中江祐司監督、石田法嗣、山入端(やまのは)佳美、平良とみ他の出演
ニライカナイからの手紙・・ あらすじを言うだけで泣けてきそうな作品ですが美しい竹富島の景色が救いです。おじぃと暮す我が娘に年一回の手紙を書く母・・せつないです。
コンドイビーチ・・ 竹富島の美しいビーチです。誰でも必ず行く場所ですが道の案内が今ひとつ不親切だとおもいます。
マンガタミ・・ 「背負ってたつ」という意味。「○○さんはあの店のマンガタミ」と言う感じ。
饒辺愛子・・ 沖縄市出身の本格民謡歌手、「肝(チム)がなさ節」で一世を風靡した。「なんた浜」は宮良長包作曲です。私は「愛の村情話」で彼女の存在を知りました。
花酒・・ 与那国島の3メーカーが認可された60度の泡盛。ウォッカに似て口中に火炎が広がる感じ。
ヤールー・・ ヤモリ(屋守)です。そこら中を素早く走り奇妙な声で鳴きます。虫を食べてくれますので大切な存在です。「ソージマヤー」とも言うようです(掃除?猫)
有人10島・・ 石垣市(石垣)、与那国町(与那国)、竹富町(竹富、西表、波照間、小浜、由布、鳩間、黒島、新城の8島)。竹富町役場は石垣市内にあります。
呂音階・・ 「りょおんかい」はドレミソラで「ファ」と「シ」がありません。本島の音階は「琉球音階」(ドミファソシ)が多い。ドレファソラが律音階でヤマト系です。音階の説明は混乱を極めています。沖縄県立芸術大学金城厚教授の著「沖縄音楽入門」と音楽辞書「意美音(イミオン)」(=カワイ出版「すぐに役立つ音楽用語ハンドブック」)を拠り所とした。「呂律(ろれつ)が怪しい」の語源ですからやっかいです。
月ぬ美しゃ・・ ♪月が美しいのは13夜・・坊やが泣くとお姉さんも・・坊やが眠るとお姉さんも眠っちゃうよ・・♪ 子供が眠らなければ歌い続けるので、歌詞は順不同で沢山あります。「いつの間にか愛しい人の家を訪ねる歌詞になったりしている」(新城和博氏)そうです。
トゥバラーマ・・ 一つの歌に自分なりの詞を乗せる八重山の人以外には唄えない歌といいますか、歌い手によってそれぞれのトゥバラーマがあるのです。毎年旧暦8月13日、市内新栄公園野外ステージで大会が開かれる。歌詞と歌唱部門があります。
大工哲弘・・ 48年石垣市新川に生まれる(団塊世代人)。「沖縄を返せ」で全国区となるが八重山民謡の第一人者、高校生の時上記大会で優勝。98年県無形文化財となる。「伝統と革新」が哲学。本文中の言葉は「山口智子の島唄をおいかけて」(wowow提供)より。
分村・・ 蔡温の財政再建政策の一環で新しい農地を開墾する為、或る村の住民を線引きし開墾地に強制移住させた事をいう。「文村」、「寄人政策」とも。「崎山節」は村分けの悲劇を歌ったものです。
明和の大津波・・

明和8年4月24日、石垣島南南東40km付近で起きたM:7.4の地震による海底地すべり型大津波。白保村では98%(1546人)が溺死、石垣島全体でほぼ半数が死亡した。野原村には大津波を教えた人魚の伝説がある。


プロフィール

楠 通志
1942年1月生まれ(みずがめ座 O型)。福山市出身、さいたま市在住。
1976年頃初めて沖縄入り。以来本島以外に、宮古島、多良間島、石垣島、与那国島、竹富島、波照間島、伊江島を訪問。自然風景写真を撮っている。
今年の目標は「原風景」に拘った作品作りで必然的に離島へと足をのばす事。伊是名、座間味、久高の各島。本島では山原や東海岸としたい。


シーブン(おまけ)

  1. 八重山の話題です。7月から石垣港発着の離島船運賃値上げです。竹富島の場合は90円upの670円だそうです。11年ぶりの改訂です。
  2. 北谷町公文書館は1992年出来ましたが町立としては全国初の設立だったと全国紙(日経6/21夕:「芸文余話」)で取り上げられました。最近は沖縄記事が結構見られ良い傾向と思っています。
  3. 今月の23日からすっかり夏の風物詩になった「めんそーれ大沖縄展」が開催されます。新宿エイサーもすっかりお馴染みです。22日が「大暑」、24日は「土曜の丑」となります。
  4. ゆんたく・徒然に登場する友人SさんとTさんのツーショットを紹介します。向かって右が師匠Sさん、左がウチナーンチュぽくなったTさん(東京生まれの東京育ち)です。
    http://www.awamoriya.com/content/shop/qchan/005.htm/

参考文献等

『新南島風土記』     新川明         岩波現代文庫
『琉球・沖縄と海上の道』 豊見山和行、高良倉吉編 吉川弘文館
『甦る海上の道・日本と琉球』  谷川健一     文春新書
『ニロースク・小浜島の風便り』 つちだきくお   ボーダーインク
『村が語る沖縄の歴史』     国立歴史民俗博物館編 新人物往来社
『沖縄おもしろ方言事典』    沖縄雑学倶楽部編 南風社
『もう一つの沖縄戦』      石原ゼミナール  ひるぎ社
『沖縄音楽入門』        金城厚      音楽の友社
『ウチナーのうた』       藤田正編     音楽の友社
『コーラルウェイ』2008年清明号 「島唄の誕生」    三枝克之(文)
『島のうつりかわり』  西里喜行琉球大学教授
   http://www.napcoti.com/history/contents07.htm
明和の大津波 http://www.okinawa-jima.go.jp/ishigaki/school/200406/meiwa.htm