ゆんたく・徒然 奥の深い沖縄。その沖縄をもっと知りたいヤマトの人々、
古里沖縄をあまり知らないと”ウチアタイ”するウチナーンチュ。
そんな方のお役に立てたらと願う、「青春」を謳うナイチャー、
NPOの一員です。

風さらめけば:2

沖縄では、立秋(8月7日)からひと月間程を立秋大凪(リッスーウードゥリ)と呼ぶ事があります。海風と陸風とが交替する時風がピタッと止むのを凪と言いますね。私の古里瀬戸内では夕凪の2〜3時間は蒸し風呂状態で、夜8時過ぎの山から吹く涼しい風が待ち遠しかった思い出があります。沖縄の立秋大凪は息苦しさを感じる凪と言われています。長い夏の暑さにいささかうんざりしている頃だけに余計体にこたえるからでしょうかね。このヤッケームンな立秋大凪の暑さを和らげるジンブンが古くからの言い伝えとして残っている事を昨年夏、定宿のロビーで発見しました。
“フィーフィー小(グヮー) 吹ちねー風んちゅーん” (口笛をふくと風がくる)
『かつて沖縄では自然と対話をしていました。畑仕事のオジーも、子守をするアンマーも、語りかけるように口笛をふきます。そうすると何処からともなく優しい風がそよいでくるのです』(久米のWホテルロビーに書かれていた文章そのままです)
沖縄ではヤマト以上に自然を身近な存在と捉えて生活していた事が分かります。そしてそのスタンスは今もあまり変わっていないのです。そんな事を教えてくれる言い伝えです。
こんな出会いも、私にとっては沖縄に来る楽しみの一つになっています。お気に入りの見慣れた浜辺で、とびきり美しい夕焼けに出会った時のような感動をおぼえます。
万国津梁の鐘には「・・舟揖(しゅうしゅう)を以って万国の津梁となす・・」という刻文がありますね。琉球に大航海時代の繁栄をもたらした主役の一つは、島々を吹き渡る風だったのだと思いませんか。帆に風をはらんだサバニやマーラン船が見えるようです。
昔から私は沖縄の風が好きでした。だから早い時期の第五話で「風さらめけば」をゆんたくしました。その時話題にした『さとうきび畑』の「ざわわ、ざわわ」は今ではすっかり沖縄の風の代名詞になりました。個人的には「♪緑の波がうねる」の視覚的表現のほうが好きです。版画家名嘉睦稔氏の「風はガイヤ(地球)のイアイ(伝言)」という話には版画同様、強いインパクトを覚えました。今考えればイアイは温暖化への警鐘だったのですね。「風がみえる」と唄う『やちむん』との出会いは浜辺の茶屋の心地よい風の中でした。最近ご無沙汰していますが、潮風がカヤックをヨーンナーと動かしながら今も通り抜けている事でしょうね。三線の音を運んできたヤファヤファの夜風には旅情を感じた思い出があります。那覇の裏道は道ゆらりが似合います。
その後、風の話は折々ゆんたくしましたが、“フィーフィー小 吹ちねー風んちゅーん”を知ったので、これをご披露したく「風さらめけば:2」となりました。
今年三月『風に聞いた話』という、私の気をそそる本が発売されました。本には24節気の名を付けた南風(ベー、ハエ、パイカジ)や、季節毎の風が、神話や言い伝えを語ってくれる構成になっています。季節感が薄いと言われる沖縄ですがとんでもない誤解です。季節や半月毎に替わる節気の名前をつけた風が色々ある事は、細やかに自然とかかわりを持っている事の証です。「ウリズンベー」、「ククウベー(穀雨南風)」、「ボースベー(芒種南風)」は3月(新暦)上旬から梅雨までの名前です。梅雨明け後は「カーチベー(夏至南風)」その後に「立秋大凪」がきます。新北風(ミーニシ)が吹く頃の南風は「タントゥイベー(種子取南風)」と呼ばれ、夏が戻ってきたように暑くなります。そんな日を「10月(旧暦)夏小(ナチグヮー)」とか「小夏日和」ともいいます。ヤマトの「小春日和」にあたります。「シワシーベー(師走南風):シーブパイ(歳暮南風)」もあります。
「風が吹いて君に出会えた」こんなキャッチフレーズをご存知ですか?本島が台風の暴風圏に入ると空港に中に活動の場所を借り、帰路の足を奪われたり宿泊に難儀する人達に支援の手を差し伸べるボランティアグループが活動します。そのグループのチム(心)を表すキャッチです。私もほんの少しばかり広報面でお手伝いしたことがあります。
今月は台風シーズンです。もし不運にも台風に遭遇しお困りになられた時はこの支援グループの存在を思い出し訪ねてください。バッシライン思い出や出会いが待っているかも知れませんよ。

ウチナー口(沖縄方言)など解説 ※文中敬称を省略しました。お詫び申し上げます。

ジンブン・・ 「知恵」です。知識が生きた(活きた)ものになると「知恵」です。「ジンブナー」は「知恵者」です。
小・・ 「グヮー」と読みます。色々な物の名前の後に付け、やわらかさや可愛さを表現します。「一寸コーヒー飲みましょう」を「コーヒーグヮーしましょう」などと言います。沖縄的表現ですね。宮古では「ガマ」といいます。
マーラン船・・ ジャンク型帆船。(バックナンバー「泊港:後編」)
ヨーンナー・・ 「ゆっくり」という意味です。思いやる気持ちが含蓄されているように思えます。
ヤファヤファ・・ 「やわらかい」の意。聞くだけで感じが伝わりますね。
風に聞いた話・・ 季節ごとの風の名を持つ沖縄、そのビジュアル風土記です。「タルケン」こと垂見健吾氏の写真とコーラルウェイ掲載の文章でもお馴染の三枝克之氏の文で構成された本の題名です。読むと心は沖縄にワープしますよ。お勧めです。
24節気・・ 「にじゅうしせっき」と読みます。2至2分(冬至、夏至、春分、秋分)と立春、立夏、立秋、立冬を加えて8節が出来て、さらに細分化して以下(雨水、啓蟄、清明、穀雨、小満、芒種、小暑、大暑、処暑、白露、寒露、霜降、小雪、大雪、小寒、大寒)が加わり24節気となりました。土用とか節分、彼岸などは雑節と呼ぶそうです。新暦で表せば1日程度のずれしかありません。節気は半月ほどの期間の名前ですが、8節は日として特定的に使われているように思えます。
穀雨・・ 4月20日〜立夏(5月5日)の前日まで。
芒種・・ 6月6日〜夏至(6月21日)の前日まで。
夏至・・ 6月21日〜小暑(7月7日)の前日まで。
立秋・・ 8月7日〜処暑(8月23日)の前日まで。白露(9月8日〜)でようよう秋の気配を感じますね。
小春日和・・ 「小春」は旧暦10月の別名です。冬に向かう頃、沖縄では夏の暑さが戻ったと思い「小夏日和」といい、ヤマトでは「春に似た暖かさ」と感じるので「小春日和」と呼びます。 季節を間違わないで下さい、新暦11月に使ってくださいよ!
「南島の小夏日和はまだ夏日」などバックナンバー「暮れの沖縄」参照ください。
ボランティアグループ・・ バックナンバー「台風」参照ください。
広報・・ 「ふうちゃん」というブログを見てください
http://uruma.ap.teacup.com/applet/typhoon/msgcate/archive
2005/9/10 「台風会議」です。
バッシライン・・

「忘れられない」という意味のミャークフツ(宮古言葉)です。このボランティアは宮古出身者が大勢参加されていますので敬意を表し、宮古言葉を使用しました。


プロフィール

楠 通志
1942年1月生まれ(みずがめ座 O型)。福山市出身、さいたま市在住。
1976年頃初めて沖縄入り。以来本島以外に、宮古島、多良間島、石垣島、与那国島、竹富島、波照間島、伊江島を訪問。自然風景写真を撮っている。
今年の目標は「原風景」に拘った作品作りで必然的に離島へと足をのばす事。伊是名、座間味、久高の各島。本島では山原や東海岸としたい。


シーブン(おまけ)

  1. 沖縄とハワイ観光の比較が県の実態調査結果として公表されていました。一番ビックリしたのは入域観光客数と収入額での格差でした。ハワイ:約760万人/1兆3020億円 対して沖縄は約590万人/4300億円。3割多い客数ですが収入はなんと3倍ですよ!
  2. 「方言を失えば沖縄は変容する」と琉球大客員教授パトリック・ハインリッヒ氏は与那国島などの実地調査をふまえ、「外国人から見たしまくとぅばの魅力」を熱く訴えられました。9月18日の県内での盛り上がりを期待します。
  3. 本島のダム貯水量が60%台になっています。平年貯水量の3割減だそうです。台風は沖縄本島を忘れたのでしょうか?来るべきものは来て欲しいですね。
  4. インターネット泡盛博物館に「泡盛検定100」というテストがUPされました。 泡盛通を自称される方、色々知りたい方、下記にアクセスされたらと思います。
    http://www.kanainome.com/

参考文献等

『風に聞いた話』 三枝克之(文・編)、垂見健吾(写真)  角川書店
24節気表  http://www.gekkou.or.jp/k-1/koyo-4.html
24節気解説 http://koyomi.vis.ne.jp/24doc.htm